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コンデンサーマイクの保管用に防湿庫(デシケーター)買った

      2021/03/15    HimaJyun

所用でコンデンサーマイクを購入するなどした。

コンデンサーマイクは湿度に気を使う必要があるらしく、保管用にIDEXのD-strage DS-31Cという防湿庫(デシケーター)を購入したので、そのレビュー。

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コンデンサーマイクと湿度

コンデンサーマイクは湿気に敏感らしく、湿度が高すぎると音質に悪影響を及ぼす。

コンデンサーマイクの保管時には湿度40%前後をキープする必要があるのだが、年間を通して40%で安定している部屋なんてないだろう。雨が降れば当然ながらに湿度は上がるし、冷房を付ければ下がる。

というわけで、安定した湿度でコンデンサーマイクを保管する方法は多くの人が工夫を凝らして考案している。

ジップロックに入れている人も居れば、キャニスター(パスタのビン)に入れている人も居る。もちろんそれ専用のケースも売られている。

その手法の1つとして、湿度を一定に保って保管するための「防湿庫」というものがある。音響界隈では「デシケーター」って呼ばれてる事の方が多いかな?

今回は「コンデンサーマイクどうやって保管しようかな~」と考えている人向けに、防湿庫の紹介。

ちなみに、この辺はカメラ沼と同じ技術が使えて、カメラ沼の方が情報が多いので音響屋各位はカメラ沼の情報も参照すると良いでしょう。

乾燥剤はめんどくさい

ジップロックに入れるにしても、キャニスターに入れるにしても、外気(=湿気)をそのまま入れただけだと意味がないので乾燥剤を入れる。

(ちなみにこの時使用する乾燥剤は普通の乾燥剤だと湿度が下がりすぎてしまうのでダメらしく、カメラ用とかで売られている40%前後をキープするタイプの乾燥剤を使う)

これがカメラ沼も含めて個人用途では一般的な保存方法。

普通はこのやり方で問題ないですし、その方がコスト的にも安い。ではなぜこの方法にしなかったのか?

乾燥剤には寿命があるので数ヵ月に一度乾燥剤を交換する必要がある。俺は極度のめんどくさがり、というか反復作業を人間の手で行うのが大嫌いなので、数ヵ月に一度の乾燥剤交換ですらやりたくなかった。

あと、乾燥剤が寿命になってるの気付かずに庫内の湿度上がったままになったりすると嫌だし。

(という理由を付けて新しい物を買いたいだけの買い物好き)

ということで防湿庫を買う。調べてみると桁違いに高いという訳でもなさそうなので、買う。はい。

IDEX D-strage DS-31C

今回購入したのはIDEXというメーカーのD-strageシリーズで、DS-31Cという製品。

追記: どうやら僕が購入した製品はすでに販売していない模様。自分が購入した製品とは異なるが、最近ではサンワサプライなども防湿庫を販売しているようなので参考までに。

大きめの箱で来ますが中身は空洞なので重さはそこまででもない。
外箱本体(写り込む畳としわくちゃの背景布から漂う写真撮影へたくそ感)

裏面には除湿装置が付いている。
裏面

底面。前側の足はアジャスターになっている。俺みたいなガタガタの家に住んでいる人にはうれしい機能。
底面アジャスター

庫内はこんな感じ。LEDが付いている。
庫内 庫内

特にこれといったところはなく、とてもシンプル。

付属品

付属品は取説、鍵、電源など必要最低限のみ。
付属品

スライド棚が最初から1枚セットされている。
スライド棚スライド棚

大きさ

サイズの選択肢はいくつかあるが、今回購入したDS-31Cは30L、type Sという薄型スリムモデルの模様。

メーカーサイトによると、外寸は幅290x奥行320x高さ420mm、内寸は幅286x奥行310x高さ365mm

……と、数値で言うのは簡単なのだが、実際のサイズ感というのは案外分かりづらい。

身近にあるものを並べて置いてみる。少しは分かりやすくなるか?というかHDDって身近にあるもの……だよね?
HDDとサイズ比較HDDとサイズ比較

写真で見ると案外大きそうに見えたりするのだが、実際は思っているより小ぶり。

俺の部屋はあらゆる機材で溢れかえっているので、大きすぎなくてよかった。大きいと置き場所を作るのに苦労する。

ちなみにスライド棚は縦横24cmくらい。
スライド棚の大きさ スライド棚の大きさ(測り方が適当過ぎる?それな。)

センサーの精度

この製品には湿度センサーだけでなく温度センサーも付いている。

防湿庫である以上、庫内の湿度を測るセンサーの精度は重要。

気になったので、手持ちの温度計や湿度計と比較してみた。
防湿庫のセンサー表示湿度計温度計

だいたい同じくらいの値になっているのでセンサーの精度も問題なさそうだ。

ちなみに、温度計は上ボタンを長押しすると摂氏華氏の切り替えができるようになっている。日本人には不要な機能だが……

使ってみる

中に入れるのはこれ。audio-technicaのAT2035。1万5000円のマイクを1万5000円の防湿庫に入れるのはオーバーな気がしないでもない。
AT2035(AT2035はバックエレクトレットだからDCバイアスよりは耐久性あると思うのだが、実際どれくらいまで雑に扱えるかは知らない。部屋に放置だけど大丈夫みたいなレビューも見かける、真似したいとは思わないが)

スポンジについているレンズホルダーがちゃっかりマイクにもちょうど良かったりする。
レンズホルダー

電源を入れてから2時間ほどで庫内の湿度が40%になりました。
湿度

庫内の湿度が設定した湿度になると除湿機能が停止します。

庫内は完全に密閉されているわけではないのでしばらくすると少しずつ湿度が上がります。これは正常。

設定した湿度+2%を超えると再び除湿機能が働き設定した湿度になるまで除湿が行われる……という動作をするようです。

(設定した湿度+1%で動作しないのは頻繁に除湿の運転と停止が切り替わるのを防ぐため、らしい)

庫内の様子。今はまだちょっと寂しいですけど、そのうち「コレクション」が増えるでしょう。
庫内の様子

ちなみに下のポーチは付属品のショックマウントとかが入ってる奴。

他の製品との比較検討

他にも類似製品はいくつかありますが、なぜIDEXのD-Strageを購入したのか?というのを購入時に比較したポイントを踏まえて解説。

こういう代物ははじめて買う人がほとんどでしょうから、どこを見るべきかの参考になれば。

乾燥剤運用

「めんどくさいので嫌だ」という理由で除外した乾燥剤運用ですが、一応検討の過程で視野に入れていたのでついでに紹介。

カメラ向けの製品としてドライボックス(パッキンの付いたプラスチックケース)と、それに合う大きさの湿度計が販売されているので組み合わせる。

ドライボックスには乾燥剤が付属しているので、ドライボックスだけ買ったのでもいい。ちなみに乾燥剤単体だと以下の通り。これは冒頭でチラっと書いた湿度を40%前後で保つタイプの乾燥剤。

入れ物(ジップロックとかキャニスター)を持っている人はドライボックスではなく乾燥剤だけを買ったのでOK。

とにかく安い。乾燥剤交換さえ忘れなければ問題ない。

Re:CLEAN

「とにかく安いの」と考えるとRe:CLEANが強力な選択肢になる。

Re:CLEANは容量あたりの値段が他よりも安い。一番小さい21Lだと1万円で寿司2人前くらいのお釣りがくる。

「とにかく安く」なら強力な選択肢。ただ、個人的には湿度調整がかなり大雑把そうなのが気になる。

IDEXの製品は湿度調整が1%単位で変更できるのだが、Re:CLEANの製品は写真で見た感じ強、中、弱……のようなふわっとした設定しかできなさそうだった。

俺は安くて良い物を作れなんてブラックな事は言わないように心掛けているので、値段が安い分機能が大雑把なのは仕方ない。

ちなみに他のメーカーも小容量低価格の製品は全部似たような感じの大雑把な調整機能になっている。

HAKUBA

除湿のやり方にもいくつか種類があって、IDEXに限らず低価格帯の製品は軒並みペルチェ式。一方でHAKUBAは少し珍しい乾燥剤方式。(違いは後述)

HAKUBA以外で乾燥剤方式となると高級メーカーくらいしかないので、乾燥剤方式で安価な製品が欲しいのならHAKUBAが強力な選択肢。

ただ、ペルチェ式に比べるとやはり容量あたりの価格は少し高めなので、どうしても乾燥剤方式でなければならない強力な理由がないのであればペルチェ式の方が手軽。

なんかよくわからん高い奴

東洋リビングとかトーリ・ハンみたいな高級メーカーもある。

どちらのメーカーも光触媒や庫内コンセントが搭載されていたりして、機能面も豊富。除湿が乾燥剤方式なのも特徴。

ただ、容量あたりの値段が倍くらいする。もちろんその分品質は良いのだろうけど……財布が死ぬ。

1つ云十万円レベルのめちゃくちゃ高い機材を持っているのならともかく、機材より高い防湿庫を買っていたら何をしているのか分からなくなってしまう。

その他

魑魅魍魎含めると色々なメーカーが出品している。

機能面ではほぼ同じ(というか全部同じメーカーがOEMで作ってるんじゃねぇの?)で、価格もさまざま。

ただ、安価な所はそれ相応に商品ページの日本語が怪しかったりする。

日本の企業で、日本語のサイトもちゃんと作られているのはIDEXくらい。

サポートは期待しないから、安くて機能のあるものが欲しい……という人はIDEX以外のメーカーも見てみると良いと思う。

防湿庫の原理

ググればいくらでも出てくるのだが、一応解説しておく。

簡単に例えると、乾燥剤方式が海苔の入れ物で、ペルチェ方式は冬の窓際みたいなもの。

乾燥剤方式

乾燥剤を使用して庫内の湿気を吸湿し除湿を行う方式。

もちろんただ吸湿するだけだといずれ乾燥剤の吸湿量が限界になるので、定期的に加熱して乾燥剤を乾燥させている。

一方で乾燥剤の加熱中は除湿されないので、加熱中に防湿庫を開け閉めすると湿度が上がってしまうという弱点もある。(加熱時間は数時間に30分程度なので問題はない)

耐久性が高く、乾燥剤方式の防湿庫は10年単位で使っている人が居るとかどうとか。

電気代が安いのも特徴……と言っても数円程度の話なので、テレビを見る時間でも減らすほうが省エネにはよっぽど効果的だろうけど。

とにかく耐久性が高いというのが特徴。

ペルチェ方式

ペルチェ素子と呼ばれる半導体を利用して庫内の冷却板を冷却し、結露で集まった湿気を外へ排出する事で庫内の湿度を調整する方式。

価格が安く、除湿が乾燥剤方式よりも早い。開け閉めの回数が多いならペルチェの方がいいのではないかと予想。

一方でペルチェ素子は半導体なので耐久性では乾燥剤方式に劣る。(と言っても、IDEXの製品では耐久年数10年を目安に設計しているらしく、10年もあれば十分だろと思わなくもない)

電気代は乾燥剤方式よりも高い……と言っても数円程度の話なので、テレビを見る時間でも(ry

要するに安くて早いのが特徴。

クソどうでもいい余談だが、よく「CPUの冷却に使われる」という説明をされるペルチェ素子。ぶっちゃけきょうびペルチェをCPUの冷却に使う奴なんて居ないだろと思う。

そりゃま、昔一時期流行りましたけど、CPU冷やしたいなら妙に凝ったヒートシンクや空冷ファンが売られているし、ここ最近は簡易水冷とかもある。

結露の心配もあるペルチェをわざわざ冷却に使うメリットなんてないでしょ……というか実際使われてないし。なに?オーバークロック?液体窒素でも入れとけ。

あの「CPUの冷却に使われる」って説明、なんなんだろうなぁ……

まとめ

防湿庫のレビューがしたいのか、防湿庫について解説したいのかよく分からない記事になったけど、とにかく俺は防湿庫を買いましたよ、という話。

「高そう」なイメージのある商品だが、中に入る機材に比べればそこまで高い訳でもないので所有している機材が高級だったり数が多い人は検討してみては?

せっかくなので俺もカメラ沼入門してみようかなぁ……コンデンサーマイクもひとりぼっちは寂しいだろうし?

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