Radeon RX 570 SAPPHIREとMSIで比べてみる
2020/04/02
新しいパソコンを組むためにRX570を買いました。
単にRX570のレビューだと新規性も何もないんですが、今回は手元に何故かSAPPHIREのRX570とMSIのRX570があるのでこの2つを比べてみます。
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いまさらRX570を買う理由
「いまさらRX570?」と思うかもしれませんが、RDNA2(Radeon Navi2)でレイトレーシングに対応するという噂があるので、それまでの繋ぎという考えです。
「繋ぎなら今持ってるやつ使えよ」という声がどこかから聞こえてきますが、今持ってるのはGTX760なのでさすがにしんどい。
それと、最初からRadeonで組んでおけばRDNA2になった時に(おそらく)ドライバの入れ直しをしなくていい。そういう考えなので同価格帯のNVIDIAって選択肢もなし。
SAPPHIRE vs MSI
今回の比較対象は「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 8G GDDR5」と「MSI Radeon RX 570 ARMOR 8G」です。(ちなみにSAPPHIREは11266-66という型番の製品と同一だと思われる)
まずはスペックとか、外観とか、動かさなくても分かる部分から比べてみましょう。
比較表
メーカーサイトのスペック表から読み取れる部分を比較表にしてみました。
メーカー | MSI | SAPPHIRE |
---|---|---|
GPU | RX 570 | RX 570 |
SP数 | 2048 | 2048 |
ブーストクロック | 1244 MHz | 1284 MHz |
VRAM | GDDR5 8G | GDDR5 8G |
メモリバス | 256 bit | 256 bit |
メモリクロック | 7000 MHz | 7000 MHz |
インターフェイス | PCI Express 3.0 x16 | PCI Express 3.0 x16 |
出力 | 5 (DVIx1, DPx3, HDMIx1) | 4 (DPx2, HDMIx2) |
ディスプレイ数 | 5 | 5 (出力端子は4つ) |
最大消費電力 | 150W | 180W |
補助電源 | 8ピンx1 | 8ピンx1 |
保証 | 1年 | 2年 |
値段 (2019/10/09) | 17,881 円 |
当然ながら同じGPUなので数値的な差は小さいですね。
開封
MSIと比較するとSapphireのパッケージはかなり簡素です。
「外箱だけで選べ」と言われたら迷わずMSIを選ぶレベルでSAPPHIREの箱は簡素です。
SAPPHIREは中身も簡素、本体、ドライバディスク、マニュアルなど……
MSIの箱はよくあるやつです。
シールとか漫画風の何かが増えたというだけで、基本的にはあまり変わりませんね。
箱に関してはMSIの方が綺麗です。ただ、邪魔なんだよなこのタイプの箱って……
本体
本体を比べてみましょう。
購入するまで気が付かなかったんですが、SAPPHIREはバックプレートが付いています。
SAPPHIREはカバーが全面を覆っていて、マザボに挿した際の見栄えもよさそう。
SAPPHIREはヒートシンクを外さずにファン交換ができるようになっています。ファンが壊れて交換するという事も稀にあるのでこれはGood。ヒートシンク自体もMSIより肉厚?
箱のデザインとは対照的に、本体のデザインはSAPPHIREの方が良い感じ。
個人的な好みの差ってものもあるでしょうが、本体のデザインは完全にSAPPHIREの方が上だと思います。
出力端子
端子の数に関してはMSIが5でSAPPHIREが4なので、MSIが勝っています。
内訳としては、SAPPHIREがDisplayPortとHDMIを2つずつなのに対して、MSIはDisplayPortを3つでDVIとHDMIが1つずつというDP偏重な構成になっています。
どちらもメーカーサイト上での最大ディスプレイ出力数は5となっています。
SAPPHIREは端子が4つしかないのに出力が5つ?と思うかもしれませんが、これは恐らくDisplayPortのMST(Multi Stream Transport)を使って1つのDP端子から2つの液晶に繋ぐ……みたいな構成の事だと思います。(試した訳ではないので分からない)
余談なんですが、俺はDVIしかない液晶を4枚という構成なので、DP->DVIの変換アダプタを使用する予定です。
SAPPHIREの説明書にはアクティブアダプタを使えと書いてあるんですが、今時のグラボでもパッシブアダプタはダメな感じなんですかね?
保証
MSIが1年、SAPPHIREが2年……
SAPPHIREの方が安いのに保証は倍ありますね。
ただ、個人的な経験から考えるに、初期不良以外で2年以内に壊れるような事は少ないと思います。1年が2年になってもあまり変わらない。
ベンチマーク
実際に動かして比べてみましょう。検証機材は以下の通りです。
マザー | ASUS ROG Strix X570-F Gaming |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
クーラー | Scythe 忍者 五 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
電源 | Corsair RM850x |
GPU-Z
GPU-Zで色々と確認してみました。
どちらもほとんど同じですね。SAPPHIREはメモリがSK Hynixの物もあるらしい。
ASIC QualityはMSIが78%、SAPPHIREが68.7%……SAPPHIREはちょっとハズレ引いちゃった感じかな。
性能
RX 570で性能に期待するのもアレな気がしますが、3DMarkのTimeSpyでスコアを比較してみます。
MSIが3814、SAPPHIREが3920でブーストクロックが少し高い分だけ性能が上がっています。
個人的にはむしろ数%分クロック落として発熱減らすほうが良い気がしますが……
温度
両方とも低負荷時(というより低温時)にはファンが停止するセミファンレス仕様になっています。
静音性が高いならその方が良いに決まっていますし、温度を少し調べてみました。
温度は「無負荷時」と「高負荷時」の2つを確認します。
まず「無負荷時」の温度ですが、起動してから無負荷のまま放置するとじんわりゆっくり温度が上がっていくので、この温度が上がりきった時点での温度(=無負荷で到達する最高温度)を「無負荷時」の温度とします。
その後、OCCTでGPU負荷が100%になるようにして、同じように温度が上がりきった時点での温度を「高負荷時」とします。
室温は26℃、エアコンで調整して温度計で測ってます。
まずは無負荷時の温度から。
MSIが44℃、SAPPHIREが42℃でした。
誤差の可能性もあるので何度かデータを取り直してみましたが、何度やってもSAPPHIREの方が低温でした。(この作業、地味に大変でした。温度が上がりきるまで数十分くらいかかるので)
次に高負荷時の温度。
MSIが74℃、SAPPHIREが73℃でした。
ただ、これに関しては負荷の掛け方が良くなかったのかOCCTの画面で見るとそこまでクロック上がってない気がするので、ゲームとかだともっと温度上がるかも……
もちろん発熱にはGPUの個体差もあるかと思うのですが、ASIC QualityからしてもSAPPHIREの方が低い(=個体的にはMSIの方が優秀)にも関わらず、実際の温度はSAPPHIREの勝ち。
1~2℃の違いなので気にするほどでもないですが、冷却はSAPPHIREの方が優秀そうです。
騒音
温度計測の際に騒音も確認してみました。
騒音計とかは持ってないのでスマホアプリで測定しました、なので数値は参考程度に。
無負荷時は回転数0=無音になるので省略。高負荷時は以下の通りです。
騒音に関してはどちらも平均42dBほどで大差ないですね。誤差の範疇です。
個人的にはそこまでうるさいとは感じません。(というか環境音が割とうるさい家なので……)
ただ、これも先の通りGPUがフルパワーで回ってない可能性があるので、ゲームとかだともっとうるさくなるかも。
どっちを買う?
レビューってつい"忖度"しそうになるんですが、そんな事してたら俺が信頼を失うので。まあこれ両方とも俺の自腹なんで忖度する必要もないしな。
ハッキリ言い切るならSAPPHIREのRX570を買う方が良いでしょう……と、前までなら言えたんですけどね。
RX5500が出てから見事なくらい綺麗サッパリ売り切れました。そのRX5500もそこまで安くないという辛い状況。
いまRX570を手に入れようとMSIの物しかありません。
ただ、この金額ならもう少し足せばRX5500が買える。
VRAMを8Gにしようとすると更に少し必要になる罠。
RX570→RX5500 4G(+3000円)→RX5500 8G(+4000円)……RX570でもまだ戦えるし、RX570でNavi2待ちがベストか?