デカくて静か Scythe 忍者 五 (SCNJ-5000) レビュー
2019/10/26
前々回のRX570、前回のMX-4と続いて、今回はScytheの忍者 五(SCNJ-5000)をレビューします。
(レビュー予定のパーツが他にもあと10個くらいある、めっちゃ大変だ……)
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目次
忍者 五
Zen2で新しいPCを組もうと思ったのですが、せっかくなので良いクーラーを使おうと思いました……
って話、要りますか?要らないよね、省略!
今回のレビュー対象はScytheの忍者 五(SCNJ-5000)です。
要するにCPUクーラーです。
みなさんがこの記事に求めているのは俺の独り言ではなく、外観の写真とか温度の比較データでしょうからさっそくはじめます。
外観
外箱です。
箱だけの写真だと何も思わないかもしれませんが、かなりデカいです。Ryzen 7 3700Xの箱と比較。
内容物です。付属のファンはKAZE FLEXです。かなり大きなヒートシンクになるので長いドライバーも付属。
写真で見るとインパクト伝わりづらいですが、本当にデカい。
ファン装着状態での幅はATXマザーの8割くらいあります。
重量もかなりのものです。仕様表を見てください、1kg超えてるんです。
大きさ (ファン込み) | 138.5(W) x 155(H) x 180(D) mm |
---|---|
重量 (ファン込み) | 1,190g |
ファン回転数 | 300 (±200) ~ 800 rpm (±10%) |
ノイズ | 4.0 ~ 14.5 dBA |
風量 | 16.6 ~ 43.03 CFM |
大きいだけあって、静穏性はかなり高い。
取り付け
取り付け方はマニュアルに書かれてあるので省略。
虎徹の時よりファンクリップが取り付けやすくなってる気がする。
ASRock X570 Taichiに取り付けてみました。
大きさのイメージ、伝わりました?
虎徹を2個引っ付けましたって感じの見た目をしています。
リテールクーラーと比較
せっかくなのでリテールクーラーと比較してみましょう。
検証機材は以下の通り。
マザー | ASRock X570 Taichi |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
グリス | ARCTIC MX-4 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
グリスにはMX-4を使用しています。
グリス検証の結果から付属グリスも1000円くらいで売ってるMX-4と同じくらい冷えると分かっています。
今回は条件を整えるため(付属グリスは量が少ないので)MX-4を使用していますが普通に使うだけならわざわざ別途グリスを購入する必要はないと思います。
Ryzenのリテールクーラーにはいくつか種類があって、今回比較対象になる「Wraith PRISM」はその中で一番上位の奴です。
計測方法ですが、起動後に負荷と温度が安定した時の数値を開始地点として、OCCTで負荷をかけながら1分、3分、5分、10分経過後の温度を取得します。
電源プランはRyzen Balansedを使用。Core Performance Boost/Precision Boost/XFRは無効化します。今回はクーラーの性能を調べたいのでPWMは有効化しておきます。
室温は26℃で統一、エアコンで調整して温度計で計測しました。マザボむき出しで検証してるのでCPUクーラー以外の風は一切ありません。
この辺はグリスの検証と同じやり方。
温度
結果のグラフです。
見るからに忍者の方がよく冷えてますね。
ファン回転数のグラフです。忍者はファンを2つ使うので値も2つあります。
もちろん回転数はPWMの設定次第ですしファンの大きさでも変わります。
実際の値でいうとリテールは1670→2428(+758、+45%)、忍者(というよりKAZE FLEX)は524→675(+151、+28%)と回転数の上昇も控えめ。
忍者2は設定がよろしくなかったみたいでほとんど回転数上がってませんが、実際に使用する際は両方とも同じ回転数になるように設定した方が良いと思います。
(ちゃんと設定すればもう少し冷えるかも?)
騒音
無負荷時と高負荷時の騒音も計測。騒音計持ってないのでスマホアプリでやりました。(騒音計買わないとね……)
リテールクーラー
平均値は37dB→43dB (+6dB)
忍者 五
平均値は30dB→33dB (+3dB)
両者の測定条件が厳密に同じではないので参考程度にしかなりませんが、リテールはハッキリ分かるくらいうるさくなるのに対して、忍者 五では音の変化がほとんど分かりません。
というかX570のチップセットファンが……
忍者 五 ファンレスという選択肢
「ファンがデカいんだしこれファンレスでも行けるんじゃね?」みたいな事がどこかに書かれてたのでやってみた。
3分で80℃越え、4分ちょいで90℃くらいになった。
流石に8C/16Tの負荷100%をファンレスで冷やすのは不可能っぽい……が、TDPが低いCPUなら行けるかもしれない。
普通のデスクトップ用CPUでも、事務作業みたいな負荷があまりかからない用途に限るか、クロックを下げておくか、ケース内エアフローがしっかりしていれば行けそう。
ただ、元々かなり静穏性が高いのでファンレスにするメリットは薄いかも?他にHDDやファンがあったら余裕でそっちの方がうるさくなります。
X570だとチップセットファンがあるのでファンレスにするメリットないです。
マザーのPWM設定でセミファンレス化するのはアリだと思う。
唯一の欠点: 大きさと干渉
圧倒的な大きさなので冷却力や静穏性はかなりの物ですが、それ故にメンテナンス性はかなり劣悪になります。
メモリを変更しようと思えばクーラーの取り外しが必須ですし、場合によってはグラボを外すためだけにクーラーを外す必要がある。
他のパーツとの干渉には気を付ける必要があります。
I/Oシールド一体型マザー
最近増えてるI/Oシールド一体型マザーですが、ファンをあまり下に取り付けてると当たります。
取り付けの際は必ず「ヒートシンクを取り付け→クーラーを取り付け」の手順で行いましょう。「だいたいこの辺りやろ」とか考えて適当にファンを付けてからマザーに取り付けると当たります。
当たるだけなら良いんですが、ネジを締めるのに必死で当たってる事に気付かない→マザーぶっ壊す、なんて可能性もありえます。
5000円のクーラー付けるために3万のマザー壊したとかシャレにならないので気を付けましょう。
メモリとの干渉
少し気になるのはメモリ、特にヒートシンク付きメモリとの干渉。
メーカーの製品情報ページでは、メモリの高さはヒートシンクがカットされている部分で55mm、それ以外で35mmとなっています。
「35mmってメモリヒートシンク付かないじゃん」と思うかも知れませんが、これ、ファンを少し上に取り付ければ35mm以上でも取り付け可能です。
冷却力への影響はおそらくほとんどないと思います。
当然ファンを上に取り付けると高さは高くなるので要注意。
まとめ: 静穏性重視の大型クーラー
この製品は静穏性重視な構成になっていて、巨大なヒートシンクの高い冷却力のおかげで低回転数でもリテールクーラーより冷えます。
もちろん高い冷却力が欲しい人はPWMの設定で回転数上げればさらに冷えます。(Noctuaのファンと交換する人も居るらしいです。ファン自体は普通の物なので大きささえ合えば取り付けできます。)
ただ、その大きさはかなりのものなので、他のパーツとの干渉やマザーボードのたわみには気を付けましょう。
大きさがメリットであり、大きさがデメリットでもある。そんなクーラーです。