ASRock X570 Taichi レビュー
2020/05/30
Zen2はともかくとして、X570が熱すぎてマザー選びに苦労してる。
そんなこんなで、X570マザーを二種類買うハメになったのでレビューします。今日はASRock X570 Taichiのレビュー
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太一君
この記事でレビューするのはASRock X570 Taichiです。ちなみにこの記事はメーカーからの提供とか受けてません、自腹購入。
チップセットファンが窒息でVRMが発火してType-Cが干渉するとか言われてるあのマザーです。試してみましょう。
開封
まずは普通に開封していきましょう。
箱は結構大きめです。ASUS ROG Strix X570-F Gamingの箱と比較。
ちなみに、ASUS ROG Strix X570-F Gamingとの比較記事もあるので興味あればどうぞ。
中身はこんな感じになっています。
内容物です。
ちなみにですが、執筆時はマニュアル(PDF)とマニュアル(紙)と仕様表の3つで付属品の記載内容が違うという状態になってました。
中古品とかを手に入れて紙マニュアルに書いてる付属品の数と実際の数が合わない時は公式サイトを確認しましょう。
外観
マザー本体の外観を眺めましょう。
バックプレートが付いてます。CPUクーラーにクソでかな忍者 五を載せるのでこれは頼りになる。
M.2とチップセットのヒートシンクです。PCIe x16スロットは今流行りの強化タイプです。
ヒートシンク外してみました。M.2スロット3つ付き、M.2の長さ次第ではヒートシンクのネジと共用になる仕組み。
ヒートシンクには最初からサーマルパッドが貼り付けられています。
噂の爆熱X570君です。AMDさぁ……
PCIe x1のスロットはエッジフリーになってます。ただ、ヒートシンクが邪魔になるので結局のところx1以外は刺さらない。
いま流行りのI/Oシールド一体型の奴です。PS/2があります、俺はRealforce R2を使ってるのでPS/2なんか使わなくてもNキーロールオーバーできますが……
とりあえず外観はこれくらいで。これぐらいって、これで全部だけど……
仕様
仕様の話をしましょう。
ちなみにZen2前提で書いてるのでZen+とかだと話が変わります。というかX570にZen+載せる奴居ないだろ、メリットないし。
フォームファクタ | ATX |
---|---|
ソケット | AM4 |
チップセット | X570 |
CPU | Ryzen 2000/3000 シリーズ |
フェーズ数 | 14 |
メモリ | DDR4x4 (最大: 128G) |
LAN | Intel I211AT (1Gbps) |
ワイヤレス | Intel AX200 (Wi-Fi 6 & Bluetooth 5.0) |
PCIe | x16: 3 x1: 2 |
ストレージ | M.2: 3 SATA 8 |
マルチGPU | AMD: Quad CrossFireX, 3-Way CrossFireX, CrossFireX NVIDIA: Quad SLI, SLI, NVLink |
ファンコネクタ | 6 |
Type-C ヘッダー | あり |
他にもThunderbolt 3に対応しているという特徴がありますが、これに関しては使う予定がないので無評価で。
スペック表見ただけだと分かりづらい部分も多いので、個人的に気になるところを解説します。
メモリの組み合わせ
メモリクロックの話をしましょう。
Zen2はInfinity Fabricのクロックがメモリクロックと同期していて……という話は省略。
Zen2が定格で対応している最大クロックはDDR4-3200なので、非OC前提ならJEDECネイティブ(1.2v)で3200Mhzのメモリを使うのが一番速いです。(XMPで3200のメモリとかあるので要注意)
容量に関しては16Gx2が現状(2019-10-17)では一番大きくて速い。1本32Gのメモリとかも出てきてるけど、32Gで3200なメモリはまだ存在しない。
で、X570 Taichiのメモリクロックですが、次のようになっています。
A1 | A2 | B1 | B2 | クロック |
---|---|---|---|---|
SR | 3200 | |||
DR | 3200 | |||
SR | SR | 3200 | ||
DR | DR | 3200 | ||
SR | SR | SR | SR | 2933 |
SR/DR | DR | SR/DR | DR | 2667 |
SR/DR | SR/DR | SR/DR | SR/DR | 2667 |
要するに2本までならSRもDRも関係なく3200Mhzで使えるって事です。
ここまでの条件をまとめると、非OCで一番速くて容量が大きくなるのはDDR4-3200 16Gx2です。
一般人には関係ない話ですが、T-トポロジーだという情報とデイジーチェーンだという情報があります。どっちだよ。
M.2の組み合わせ
M.2の話をしましょう。
このマザーにはM.2スロットが3つあります。
上から順にM2_1、M2_2、M2_3です。
M2_1は2242/2260/2280対応で、NVMeとSATAが使えます。
M2_2は2260/2280対応で、このスロットだけNVMe専用です。
M2_3は2230/2242/2260/2280/22110対応で、NVMeとSATAが使えますがPCIE5(一番下のx16スロット)と排他です。
恐らくですが、配線の向き的にM2_1がCPU直結で他はチップセット経由だと思います。(M2_1がCPU向き、他はチップセット向きに線が伸びてる)
PCIeの組み合わせ
PCIeの話をしましょう。
このマザーにはPCIe x16スロットが3本、PCIe x1スロットが2本あります。
上から順にPCIE1(x16)、PCIE2(x1)、PCIE3(x16)、PCIE4(x1)、PCIE5(x16)です。
組み合わせですが、PCIE1単体なら当然ながらx16です。PCIE3単体ならx8です、PCIE3がx16だったら窒息とか言われなかったのに……
PCIE1とPCIE3ならx8/x8になります。
PCIE1とPCIE3とPCIE5を使う場合はx8/x8/x4です。先の通り、M2_3を使うとPCIE5は使えなくなります。
配線ですが、PCIE1とPCIE3、要するに上2つのx16スロットがCPU直結だと思います。
理由ですが、X570とCPUはx4で接続されている=x8以上の速度で接続できるPCIE1とPCIE3はCPU直結、という理屈です。
USB
USBの話をしましょう。
最初に説明しておくと、USB 3.2 Gen1=USB 3.0(5Gbps)、USB 3.2 Gen2=USB 3.1(10Gbps)です。
背面のUSBですが、Type-Cとその上にある奴だけがGen2(10Gbps)対応で、他はGen1(5Gbps)です。
ボード上にはUSB 2.0が2つ、USB 3.2 Gen1が1つ、USB 3.2 Gen2(Type-C)が1つあります。
USB 2.0と3.2 Gen1は各コネクタごとに2つのUSBが接続可能なので、USB 2.0は4つ、3.2 Gen1は2つまで使えます。
それとは別に、リテールクーラーのLEDを制御する用にUSBヘッダーが1つある。これが普通にUSBとして使えるかは不明。
Type-Cのヘッダーは干渉するとかでめちゃくちゃ不評だった奴ですね、俺の手元にあるマザーでは向きが変わっています。後述します。
ファンコネクタ
ファンコネクタの話をしましょう。
このマザーには6つのファンコネクタがあります。すべてPWM対応(4ピン)です。
名前にWP(Water Pump)と付いているもの、要するにCPU_FAN1以外はすべて2A(24W)まで対応。CPU_FAN1は1A(12W)まで対応です。
ファンコネクタの分岐ケーブルを使うときはこの辺覚えておくと良いでしょう。
CPU_FAN1とCHA_FAN4/WP以外のコネクタはファンがDC(3ピン)かPWM(4ピン)かを自動検出できます。
オーディオ
オーディオの話はしません。
Realtek ALC1220の7.1CHオーディオが付いてますが、俺はAIF(Focusrite Scarlett 2i2 G2)を繋ぐので一生使わないつもり。
不具合
冒頭で書いたチップセットファンの窒息、VRM発火、Type-Cの干渉の話をします。
最初に言っておくと俺はただの消費者なのでASRockを擁護する義理はありません。
VRMの発火
これに関して騒いでるのはまとめサイトくらいじゃないですかね?
ソースとされている発火報告はアメリカのAmazonに投稿されたレビューです。
元の投稿読んでもらえれば分かるんですが、このレビューを投稿した人は「新しい物に交換してもらった結果問題なかった」として星5にしています。
ここまでが俺の確認できた範囲での事実です。ここからは俺の意見です。
俺はこれに関してはTaichiの問題ではないと思います。Taichiの不具合なら他にも発火報告があるはずです。でも現実としてはこの1件しかない訳でして。
そもそも発火する原因ってのも多岐に渡るんです。電源の不良、製品の設計が悪い、その個体が不良だった、取り付け方が悪かった、端子の間にゴミが入ってた……などなど。
何が原因かも断定できない段階で「Taichiが発火した!m9(^Д^)プギャー」って書き込んだり、そういうまとめ記事が出てきたりするの、最近増えてますけどあんまり良くない風潮だと思います。
Type-Cの干渉
出た当初はType-Cが干渉する不具合あってめちゃくちゃ不評だったらしい。
俺が購入したのは修正されて向きが変わってます。どうせなら位置をもう少し上にしてほしい気がするが……
(ちなみにグラボはSAPPHIREのRX570です)
最初の状態はこうでした、これは確かに干渉するよな。なんで気付かなかったんだろう……
Type-Cヘッダーの向きが縦向きから横向きに変わっています。
まだちょっと近い気がするけど、とりあえず大丈夫そうです。
チップセットファンの窒息
チップセットファンはグラボを挿すと窒息状態になると不評ですね。
ちょっと忖度しておくんですが、これはASRock固有の問題って訳じゃない。他のマザーも割と窒息配置だったりします。(ASUS ROG Strix X570-F Gamingとかも窒息です)
というわけで、窒息状態と非窒息状態での温度を調べてみます。みんな気になるよね、これ。
検証環境は以下の通りです。
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
---|---|
クーラー | Scythe 忍者 五 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
室温は25℃、エアコンで調整して温度計で計測。
SAPPHIREのRX570を窒息になるスロット(PCIE1)に挿したパターンと、ならないスロット(PCIE3)に挿したパターンの2パターンで起動して、無負荷のまま放置、そのまま何度まで行くか確認します。
……というわけで、これは窒息にならない時。
こちらは窒息状態
Southbridgeがチップセットの温度、SB FANがチップセットファンの回転数です。
非窒息と窒息だと温度が57→61(+4℃)、回転数が3924→4368(+444)
確かに窒息状態だと温度には悪い影響があります。ただ、非窒息状態でも57℃なのでどっちみち熱いなぁという感じ。
窒息してない状態でもX570自体が熱そうなので、窒息云々気にする次元じゃない気もしますがね。
(この検証はマザボをむき出しでテストしてます。ケースファンのエアフローがないので、ケースファンのエアフローがあればもう少しマシだと思います)
どうしても気になるならサーマルパッドを銅に変更するとか、M.2冷却用のPCIファンとかを用意すると効果あります。
TRX40 Taichiでファンの位置が下になってるあたり、やっぱり良くはなかったんだろうなぁ……という感じ。
その他
主にBIOS周り。BIOSって書いてるけど、正しくはUEFI。
ちなみに使用したバージョンは2.10です。
(最近のマザーはスクショ機能まであるのか……)
BIOS起動
どこかのレビューで「BIOSの起動が遅い」という評価を見かけたので、スイッチを押してからメーカーロゴが出るまでの時間を計ってみました。
結果ですが、だいたい20秒くらい。ファーストブートが有効だとほんの少し早くなる……気がする。
個人的には遅いという気はしません。BIOSの設定を調整すればもっと早くなるかも。
条件は分からないんですが、たまに異様に時間が掛かる時があってその時は1分くらい掛かります。どうやら各パーツを細かくチェックしているっぽい?(電源ケーブルを抜いた状態で長時間放置した後とかにこの現象が起きてる気がする)
BIOSの起動速度はそこまで求めていないので個人的には気にしてないかな。
発光
俺は光るのあまり好きじゃないんですけどね……光ります。
BIOSから設定変更できます、多分専用のソフトウェアからも出来る。不要ならOFFにしてもいい。
光るのが好きな人には楽しいんでしょうね……俺には分からない。綺麗ではありますが……
まとめ: 普通に良いマザー
購入前に悪い評価が目立っていたのでどんなものかと思えば……俺は普通に良いマザーだと思います。
最初にType-Cヘッダーで悪い評価が付いてしまったのでその悪評が目立っていますが、今はすでに改善されてます。
窒息が気になる人はもっと高いマザーでも買ってください。(仮に窒息が解消しても、X570では60℃近くまで上昇するのは避けられないです)
大きなヒートシンク、バックプレート、3つのM.2ポート……これで3万円台なら悪くないどころか普通に選択肢として有力です。