ARCTIC MX-4 比較レビュー、付属グリスとどっちが冷える?
2020/05/09
CPUグリスは宗教。「あのグリスは冷える」「いや、そこまででもない」「付属グリスで十分」「マヨネーズでも塗っとけ」、結局どれを買えばええの?ってね。
せっかくZen2で新しいパソコン組むんだから、たまには少し高めのグリスも買ってみよう。という事でARCTIC MX-4を買ってみたので比較する。
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偽物グリスにご注意
記事に入る前に注意喚起、Thermal Grizzly(熊グリス)の偽物が市場に流通しているようです。
それに関連して、MX-4の偽物も存在するのではないか?と噂されているので購入時には気を付けてください。
かくいう俺も偽物らしきものを買っちゃったんだよね。
検証の結果は「偽物か本物か分からない(温度差なし)」でしたが、念のためこの記事のベンチマークもやり直して記事を修正しました。
高いグリスは付属グリスより冷えるか?
まずは選手紹介。今回比較対象となるグリスは次の3つ。
- 手持ちの謎グリス
- Scythe 忍者 五に付属のグリス
- ARCTIC MX-4
本当はもっと色々なグリスを用意したかったんですが、先立つものがなかった。
手持ちの謎グリス
普段使ってる奴です、貰い物。STYCAST 910-50という記載がかろうじて読み取れますが……なんなんでしょうね、これ?溶接機のパワートランジスタ用……って言ってたけど。
かなり使っているように見えるが、これでもまだPC数百台分くらいは余裕で残ってると思う。
使い慣れているので塗りやすい。グリスと油分が分離しているので、グリスを取り出してから好きな硬さになるまで油分を加えて塗るという使い方ができる。
荒廃した都市でPCパーツをかき集めて人類を支配するAIに立ち向かう……みたいな感じの物語があったらこのグリス出てきそう。「よくわからないグリス、ラベルはところどころが破れていて読み取れない」ってキャプション付きで。
Scythe 忍者 五に付属のグリス
今回検証に使用するCPUクーラー「忍者 五 (SCNJ-5000)」に付属していたグリスです。
1グラム入り。
色が暗めで少し粘度がある。
塗りやすさは普通かな。「忍者 五に付属のグリス」以外に情報が一切ないのでコメントに困る。
ARCTIC MX-4
今回のレビュー対象、ARCTIC MX-4。主役なのに登場が最後。
先に宣言しておくとこのグリスは自腹購入です。要するにステマじゃないよ。
パッケです。
中身です。ヘラ付属してなかった……
まぁグリスはグリスです。適当にグリグリスリスリしましょう。
検証
今回の検証機材は以下の通りです。
マザー | ASRock X570 Taichi |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
クーラー | Scythe 忍者 五 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
CPUクーラーにはScythe 忍者 五を使用。クーラーの放熱が間に合わないと意味がないので冷却力の高いクーラーで比べます。
室温は19℃、エアコンで調整して温度計で確認。CPUクーラーの回転数は最大(800 RPM)で固定。
電源プランはRyzen Balancedで、Core Performance Boostは無効化しています。
変数になる物は極力減らしました。
結果
OCCTを10分間回しました。
上昇中の部分にズーム。
OCCTを回し続けて到達した最大温度と、放置し続けて記録された最低温度のグラフです。
手持ちの謎グリス、冷えないみたい。
忍者 五の付属グリスとMX-4なら僅差でMX-4が冷える……と言っていいんだろうか、室温の変動に多少影響されている気がする。
取り外し
ついでなので、各グリスを取り外したところの写真も載せておきます。
謎グリス
忍者付属グリス
MX-4
忍者 五、真ん中が一番密着してるのかグリスが上下に集中する。
追加検証
ついでなので、グリス関係で気になることも追加で検証。
あとはおまけみたいな何か。
塗り方の違い
グリスの塗り方に関しては色々ある。マスキングで塗るのと米粒を置くように設置するやり方辺りが有名かな?
最初の検証ではマスキングを使って塗ったので、次は米粒方式で塗ってみる。
マスキングです。さっきと同じ。
米粒は「1粒分」という意見が多いですが、RyzenはCPUがちょっと大きいので2粒分くらいの方が良さげ。
それと忍者 五はネジを上下で締めるので、グリスは左右に配置する方がちゃんと広がると思います。思うだけ。
結果です。
最低温度と最大温度。
誤差レベルだと思います。室温の変動の方が大きい気がする。
忍者 五はネジで締めるようになってて、そこそこ締め付けるのでどうやって塗っても一緒だと思う。
ただ、マスキングの方がちゃんと広がるので安定した冷却性能を出したかったらマスキングかな?とは思う。
クーラーが変われば結果も変わるかもしれない。特にヒートパイプが直接接触するタイプのクーラーはマスキングの方が良いとか聞いたことがある。
リテールグリスの性能
実はリテールグリスでも同じ実験をしていたんですが、記事を修正する関係で条件を統一できなかった。
という訳で、これは記事修正する前に取得したデータです。
検証が雑だったのであまりアテにならないデータですが、リテールでも悪くない冷却性能があるみたいです。
スッポンしたくないので使いませんけどね。
過度な期待は禁物
「安物のグリスよりは冷えるが、所詮はグリス。めちゃくちゃ冷える訳ではないので過度な期待は禁物」という感じ。
Ryzenリテールはスッポンのリスクがあるのでともかくとして、忍者 五の付属グリスとMX-4なら大差ない。
今回の検証結果を提示されて「既に忍者 五のグリスを持っている状況でMX-4を買いますか?」と聞かれると俺はNOと答えると思う。
冷やしたい人はグリスではなくクーラーを交換しましょう。
MX-4は「安くてそこそこ使えるグリスが欲しい」「素性の分からないグリスを使いたくない」って人向け。
「塗りやすくて、耐久性があって、安いので無難な製品が欲しい人におススメ」みたいな紹介をされるのも納得だと思う。
機会があればMX-4 vs JP-DX1 vs SMZ-01R vs Arctic Silver 5 vs Thermal Grizzlyとかもやってみたい。
お金があったらやります、つまりやらないという意味です。