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SeagateのSMRなHDDをベンチマーク

      2021/01/27    HimaJyun

バックアップ用のHDDが容量不足になってきたので、SeagateのSMRで6TBなHDD、ST6000DM003を購入しました。

SMR(瓦)のHDDは使ったことがないので特性を把握するためにベンチマークをしました、その結果とか。

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SeagateのSMR HDD

今回購入したのはSeagateのST6000DM003です。BarracudaシリーズのHDD、SMRで6TBです。いわゆる瓦のHDD。

WDのWD40EZRZ-RT2(CMRの4TB)も候補としてはありだったんですが、今回は用途的な関係から容量が欲しかったのでSeagateを選択。

それと、これから先家庭用向けはSMRが主流になっていくでしょうし、今回の用途(バックアップ=壊しても問題ない)で予習をしておこうと思った。

容量あたりの価格としては8TBとかも同じくらいのコスパですが、さすがにそんなに沢山は要らない、恐らく使い切る前に寿命なので。逆に4TB以下になるとコスパが劣悪になるので、6TBがバランス取れてるラインだと考えた。

外観

HDDの外観とか必要ないと思いますが、これが自分の記事の書き方なので一応触れておきます。

箱です。
ST6000DM3 箱

中は普通にプチプチ+静電防止袋
ST6000DM003 プチプチST6000DM003 静電防止袋

新品の光沢(単に光沢感出るように撮っただけ)、ラベルの表記から2020年1月28日製造の模様。
ST6000DM003 表面

裏面、ネジ穴の配置とかは普通です。(ST8000AS0002とかはネジ穴が変な配置になっていたらしい)
ST6000DM003 裏面

外観はこれくらいにしておきましょう。

ベンチマーク

ようやく本題です。ベンチマークしてみます、検証環境は以下の通り。

マザー ASRock X570 Taichi
CPU AMD Ryzen 7 3700X
クーラー Scythe 忍者 五
メモリ Crucial DDR4-3200 16Gx2
GPU Radeon RX 570
電源 Corsair RM850x
OS Windows 10 Pro (64bit)

ちなみにこのマシン自体はオールSSDです。ベンチのためだけにサイドカバーを開けて繋いでる。(USB変換とかだと本来の性能が出ない可能性もあるので)

しかもSSDがすべてM.2なので電源ユニットからSATA電源ケーブルを生やしてない。なのでこのHDDだけ別の電源ユニットに繋いでる。

知っている人も多いと思いますが、ATXケーブルのあるピンをショートさせればこういうことが出来ます。

実容量

これは使用するファイルシステムとかによっても変わるんですが、NTFSでは5.45TBが利用可能でした。
ST6000DM003 実容量

さすがに6TBになると1000と1024の違いだけで600GBに達する。(6*(1024^4)=6,597,069,766,656)

特にext4とかだと予約ブロックの存在があるので調整する方が良いかも(必要ならBytes-per-inodeも変更)

耐久性

耐久性に関してはまだ現段階では分からないんですが、言いたいことがいくつかあります。

まず、壊れたら終わりになってる時点で運用に問題があります。そんな状況は耐久性以前の問題なのでもう少しマシな運用を考えることを推奨します。

それから、レビューでは「すぐ壊れた」と「壊れてない」が混在してますが、これはただのバスタブ曲線です。メーカー問わず壊れる個体はすぐ壊れます。

「Seagate=壊れやすい」みたいなのがこの国では"通説"と化していますが、自分が実際に使った範囲ではメーカーによる故障率は大差なかった。

あとエコーチェンバーね、「Seagate 壊れやすい」とかって検索するからすぐ壊れた記事ばかり出てくるんです。(逆にWDがすぐ壊れるっていう人も居るし)

そもそも「すぐ壊れる」と「変わんねぇよ」という意見が混在してる時点で、「実際のところ本当に壊れやすいかどうかは誰も分からない」という事の証左でもありますよね。

別に僕はSeagateの信者でもないし、今回購入したHDDはもちろん自腹だし、所有しているのはWDの方が多いんですが、バックアップも碌に取ってない奴(=HDDの正しい使い方も知らない素人)が耐久性で文句付けてるの見ると「それは違うだろう」という気持ちになってきます。

「ディスクは壊れる、問題は壊れた時にどうするか?」が基本です。HDDを壊れない物として仮定するな

SMART

SMARTの情報は割と色々取れます。
ST6000DM003 SMART

もっとも、壊れる前にSMARTに予兆が出るかどうかは割と運な部分がありますが。

CrystalDiskMark

CrystalDiskMark 7.0.0でベンチ。この辺は容量(プラッタの枚数)とかで多少変わるかもしれない。
ST6000DM003 CrystalDiskMark

SMRでも"キャッシュが効いている間は"普通のHDDっぽい数値が出ます。

キャッシュの証として極端に小さいサイズでのランダムリードを行うと数値が上がります。
ST6000DM003 キャッシュ

「キャッシュまだ書き込んでない時に電源落ちたらどうするんだろう?」とか考えてたんですが、この結果を見る感じライトスルーですね。

キャッシュ

HD TuneのFile Benchmarkでキャッシュの挙動を確認します。
ST6000DM003 HDTune

HD Tuneでシーケンシャルにアクセスする分には変な癖みたいなのは見えません。

SMR HDDではシーケンシャルライトである事を"察する"とキャッシュ領域を使わず直接書き込むらしいので、そういう事かもしれません。

つまり継続した書き込みが発生する用途(テレビ、監視カメラ)でも使える、という事です。

HD Tuneでは内周の速度も測れます。
ST6000DM003 内周

内周だと100MB/sほどですね。

TxBENCH

シーケンシャルライトだとSMRの挙動が測れなかったのでTxBENCHでランダムライトを実行。
ST6000DM003 TxBENCH

ランダムライトだとSMRっぽさが出ます。キャッシュが切れると1MB/s未満になる。

キャッシュの容量とかも調べたかったんですが、すでに他のベンチで書き込んだデータをSMR領域に追い出す作業をしてたのか延々とカリカリ鳴ってて終わりそうになかったので今回はパス

小さいファイルの書き込みを大量に行うような用途だと絶望的。

もっとも、HDDの時点でランダムライトは期待できないので、皆無が絶望に変わったところで大差ない……よね?

SSDがお安い今の時代にそういう用途でHDDを使う方が間違い。

どのような用途に適しているか

まず、HDDである以上、SMRとかCMRとか関係なしにパフォーマンスが欲しい用途には適しません。そこはSSDを使おう。

速度用途にはSSD、容量用途にはHDDみたいな使い分けの時代にHDDに速度を求める方が間違ってる。

その上で、ベンチマークを取った感じではキャッシュがSMRの弱点を上手く隠蔽してくれるので、「HDDが使える用途なら大抵は問題ない」という印象。

SMRなのでランダムライトをずっと継続する用途には弱いでしょう、ランダムライトが継続するって時点で用途的にはデータ用よりアプリケーション用でしょうし、そこは元々SSDを使うべき領域。

HDDで間に合うような用途には何でも使えますが、SMRの原理的に考えて「シーケンシャルライトがメイン」「一度書き込んだら後はあまり書き換えない」のどちらかに該当する用途は特に適しています。

適した用途の例をいくつか。

バックアップ

言うまでもなくバックアップには最適です。

バックアップを書き換える事は滅多にないし、バックアップで求められるのは大容量で安価なストレージなのでSMRに適している。

最初の1回は大量のコピーが発生するので初回は時間が掛かるかもしれない。普通のバックアップソフトなら2回目以降は差分コピーなのでSMRで問題になることはないはず。

ただし、バックアップの実装が間抜け(差分バックアップをしていないとか)だと絶望的な事になるかも知れません、そこはソフトを変更して対処しましょう。

データ用

いわゆる「倉庫」です。もう少し厳密に言えば、「人間用のデータ」かな。

人間用のデータ、つまりは画像、動画、音楽、テキストとかは一度書き込むとあまり書き換える事はない。

仮に書き換えるとしても人間が手で書き換える事がほとんどで、人間が手で書き換える速度なんてコンピューターからすれば太陽まで行って戻ってくるくらい遅いので、キャッシュなどでカバーできる範囲に十分収まる。

逆に言えばOSのインストール先みたいな、アプリケーションが使うためのデータを保存するのには向かない。

アプリケーションが使う時にはランダムアクセスが多くなりがちなので。

録画

テレビの録画とか、(本来の用途ではないのでおススメは出来ませんが)監視カメラ用とかも向いてそう。

HD Tuneのベンチマークを結果を見た感じ、シーケンシャルライトで速度が低下する事はなさそうなので録画用途でも問題なく使えそうです。

ついでに言えば動画は容量が大きいので、容量あたりの金額が安い方が助かる。

割と普通に使えそう

ここでいう"普通"とは、HDDが適した範囲での普通、という意味です。

SMRだから変な癖があるかと思っていましたが、ベンチマークで極端な事でもしない限りはそうでもなさそうです。

SMRが出たばかりの頃はイマイチだったかも知れません、その頃に付けられた評価が未だに「SMR=悪」みたいな雰囲気を醸成してますが、今回僕が試した範囲ではHDDが使える用途なら意外といけそう、という感じがします。

何度もしつこいかも知れませんが、今の時代はパフォーマンスのSSD、容量のHDDを上手く使い分けるのがコツです。

「SMR=悪」みたいに言ってる人はおそらくそれが出来てない。もしくは用途がおかしいか。

その辺をちゃんと理解して上手く使い分けましょう。それが今回SMRのHDDを試して辿り着いた結論

ちなみに、バラクーダって魚の事なんですが、美味しいんですかね?

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