ASUS ROG Strix X570-F Gaming レビュー
2020/03/04
前回はX570 Taichiのレビューをやったので、今日はASUS ROG Strix X570-F Gamingのレビューをします。
ASUSのX570 ATXマザーです。
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X570-F
この記事でレビューするのはASUS ROG Strix X570-F Gamingです。名前が長すぎるので以下X570-Fと省略
X570 Taichi同様に自腹購入です。気絶して目が覚めたら2枚のマザーが手元にあった、財布はスッカラカンになってました。
X570 Taichiとの比較もやってるので興味あればどうぞ
開封
箱です。どうでもいいけどROGがRepublic Of Gamersの頭字語なのに今更気付いた。
マニュアルと付属品です。
特に変わった部分はありませんね。普通のマザーボード。
外観
マザー本体の外観を眺めましょう。
上二つのPCIe x16スロットは強化タイプになっています。
ヒートシンク外してみました。
M.2スロットは2つ。M.2 22110だとヒートシンクのネジと共用になるタイプですが、そんな長さのSSDは売られていないので実質的にネジは別です。
こちらはヒートシンクに付属のサーマルパッド
Type-Cヘッダーもあります。
I/Oシールドは一体型です。
これくらいですね。他は極めて普通のATXマザー
仕様
仕様の話をしましょう。
Zen2を使用する場合の仕様表です。
フォームファクタ | ATX |
---|---|
ソケット | AM4 |
チップセット | X570 |
CPU | Ryzen 2000/3000 シリーズ |
フェーズ数 | 14 |
メモリ | DDR4x4 (最大: 128G) |
LAN | Intel I211AT (1Gbps) |
PCIe | x16: 3 x1: 2 |
ストレージ | M.2: 2 SATA 8 |
マルチGPU | AMD: 3-Way CrossFireX NVIDIA: 2-Way SLI |
ファンコネクタ | 7 |
Type-C ヘッダー | あり |
この辺りはどこも似たり寄ったりだよね~……という感じ。
PCIeやM.2の配線みたいな話をしましょう。
メモリの組み合わせ
ASRockみたいな分かりやすい組み合わせ表がサイトに載ってないので普遍的な話をします。
最近はメモリコントローラーがCPUと統合されているのが当たり前なので、メモリの組み合わせはどのメーカーでもさほど大差ないと思います。(デイジーチェーンとかT-トポロジーとかでOCのやりやすさには差があるかもしれませんが……)
Zen2が定格で対応しているのはDDR4-3200までです。JEDEC(1.2v=非OC)で一番速いのもDDR4-3200です。
2020-03-04の時点でJEDECネイティブの3200Mhzメモリとして一番容量が大きいのは16G(DR)の物で、これを2本挿すのが非OCで可能な一番速くて容量の大きい組み合わせだと思います。
少なくとも、手持ちのJEDECネイティブDDR4-3200 16G(DR)を2枚刺し=32Gは大丈夫でした。
M.2の組み合わせ
このマザーにはM.2スロットが2つあります。
上から順にM.2_1とM.2_2です。
両方とも2242/2260/2280/22110対応で、SATAとNVMeが使えます。
M.2_1(上側)がCPUに直結で、M.2_2(下側)がチップセット経由です。マニュアルに書いてある。
PCIeの組み合わせ
PCIeスロットはx16が3本、x1が2本。うち上2つが強化タイプのスロットです。
組み合わせですが、PCIEX16_1が単体なら当然ながらx16です。PCIEX16_2を単体ならx8になります。
PCIEX16_1とPCIEX16_2を同時に使用するとx8/x8です。
PCIEX16_1とPCIEX16_2とPCIEX16_3を同時に使用するとx8/x8/x4です。
PCIEX16_1とPCIEX16_2はCPU直結、それ以外はチップセット経由です。
スロット同士で排他になることはありませんが、チップセット経由で繋がっているスロットはチップセットがCPUとx4で繋がっている関係から帯域を共有しています。
たとえばM.2_2とPCIEX16_3を同時に使用するとかだと遅くなることがある。
USB
最初に説明しておくと、USB 3.2 Gen1=USB 3.0(5Gbps)、USB 3.2 Gen2=USB 3.1(10Gbps)です。
背面のUSBですが、赤色のポートがGen2、青色のポートがGen1です。
ちなみにメーカーサイトに「8 x USB 2.0」とか書いてありますがこれは誤植です。2.0のポートなんてありませんので。
ボード上にはUSB 2.0が2つ、USB 3.2 Gen1が1つ、USB 3.2 Gen2(Type-C)が1つあります。
USB 2.0と3.2 Gen1は各コネクタごとに2つのUSBが接続可能なので、USB 2.0は4つ、3.2 Gen1は2つまで使えます。
リテールのLEDを制御する用のUSBヘッダーはないので、リテールクーラーのLED制御を使いたかったら2.0を1個潰す必要がある。(X570=ハイエンドでリテールクーラーを使う奴が居るかどうかは別として……)
背面のUSB 3.2 Gen1がCPU直結で、他はチップセット経由……だと思います。AIFとかを繋ぐために音質を気にする人は一応気にかけてみると良いでしょう。
ファンコネクタ
このマザーには7つのファンコネクタがあります。すべてPWM対応(4ピン)です。
W_PUMP+が3A(36W)対応で、他はすべて1A(12W)までです。
AIO_PUMPとかW_PUMP+とかは水冷ポンプ専用みたいな名前をしてますが、回転数のデフォルト設定が違うだけなので普通にファンも繋げるはずです。
オーディオ
オーディオはRealtek S1220Aで、SupremeFXという高音質を謳う物になっています。
……ただ、オンボオーディオで音質に期待する方が間違いですわ。
1万円も出せば十分な性能のAIFやDACが手に入るので、音質重視派はそれを使いましょう。
気になるところ
気になるところ色々。
まさかのプラスチック
チップセットファンを覆っている部分なんですが……
これ、まさかのプラスチックです。
おそらくチップセットの熱をM.2スロットに伝えないためだと思います。(まさかコストカットなんて事はあるまい……)
X570 Taichiでは全面ヒートシンクで金属製でしたが、それだと表面積が増える代わりにチップセットやM.2 SSDの熱が他のM.2 SSDに行く可能性がある。
プラスチックなら熱的には分離されるので、チップセットの熱がM.2 SSDに行ったりはしない。その代わり表面積が狭くなる。
ただ「ヒートシンクっぽい見た目してるのにヒートシンクじゃねぇのかよ……」感は正直かなり強い。
PCIe x16のロック解除がやりづらい
このマザーのx16スロット、特に上側のスロット……
グラボを挿すとロック解除がめちゃくちゃやりづらくなります。
特にSAPPHIREのRX570みたいな、バックプレートが付いているマザーを装着した時に顕著。
ラッチがグラボでほとんど隠されてしまうのに加えて、ヒートシンクより高さが下になるので押しづらい……
小型のクーラーとか水冷水枕を付けている時ならまだスペースがあって押せるんですが、忍者 五みたいな大型のクーラーを取り付けると押せなくなります。
ええ、やってしまいましたよ、はい……
怠慢してものさしで押してたらちょっと欠けた。これは怠慢しようとした俺が完全に悪いんですが……押しにくいのは事実です。(グラボ外すためだけにネジで付けられてるヒートシンクを外してグリス塗り直すの、めんどくさいんだもん!)
窒息配置
このマザーもX570のチップセットファンが窒息配置になってます。
という訳で窒息状態と非窒息状態での温度を調べてみようと思います。
検証環境は以下の通りです。
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
---|---|
クーラー | Scythe 忍者 五 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
室温は25℃、エアコンで調整して温度計で計測。
SAPPHIREのRX570を窒息になるスロット(PCIEX16_1)に挿したパターンと、ならないスロット(PCIEX16_2)に挿したパターンの2パターンで起動して、無負荷のまま放置、そのまま何度まで行くか確認します。
これが結果です……と行きたいんだけど、HWMonitorで取れる情報だとどれがチップセットの温度か分かんねぇ……(AISuite3も試してみましたが同様)
温度に関してはとりあえず「測定不能」という事で。
ファンの回転数ですが、窒息でも非窒息でも2000rpmくらい、個人の感覚ですがチップセットファンはX570 Taichiより静かだと感じました。
問題なのはM.2_2スロット。このチップセットファンは風を下側に送り出すようになってて、温められた空気がそのままM.2_2に吹き付けます。
(実際に取り付けた際の向きと合致するように左右反転してます)
実際、手で触った感じだとM.2_2は40~50℃くらいあるんじゃないかという感じ。もちろんSSDは接続されていない状態で、です。
その代わりM.2_1にはほとんど熱がいかないみたいで、グラボとかの熱を拾ってほんのり暖かくなるくらいです。
NVMe SSDを1つしか使わない人には良いかもしれない。M.2_2を使うなら少し気を遣った方が良いでしょう。
その他
BIOS(UEFI)とか発光とか……
ちなみにBIOSのバージョンは1201を使用。
X570-Fはデフォルトだとなぜか仮想化機能が無効になってる。これZ97-Cとかでもそうだった気がするんだけど、なんでだ?
BIOS起動
X570 TaichiでBIOS起動するまでの時間を大雑把に計ったので、このマザーでも同じことをやってみます。
対象になるのは「スイッチを押してからメーカーロゴが出るまで」の時間です。ロゴの表示時間をUEFIの設定から縮めれば実際の起動時間は更に早くなる可能性があります。
というわけで結果、大雑把ですがだいたい18秒~20秒くらいかな……という感じ。
X570 Taichiとの差は小さいですね。こんなものでしょう。
発光
ご多分に漏れず光ります。
ただ、光るのはここだけなので「光らせる」という観点では少し地味かなぁ、という気も。
光らせない人には関係ない話ですがね。
要注意ポイントはあるが、全体的には無難
追記(2020-03-04): 値段が理由で「Taichiの方が良いよ」って書いてたんですが、値段差開いてそういう状況じゃなくなったので訂正。
X570マザーとしては普通の機能です。機能的には可もなく不可もなく。
「バランスが取れている」という褒め方も出来るし、「普通過ぎる」という評価も出来る。
値段を考えるならB450 Steel Legend(B450で安い、非公式ながらPCIe 4.0使えるらしい)、機能を考えるならMEG X570 UNIFY(後発、チップセットファンが窒息じゃない)とかが選択肢として強くなってくる。
安さでも高機能性でもない、その中間を狙う人向けには良いと思う。(何せこの"中間"くらいのマザーボードは選択肢が非常に少ないので)
M.2_2の温度と、PCIeのロックが解除しづらいという2点には要注意。