GREEN HOUSE GH-SSDR2SA レビュー
2020/04/21
「出来るだけ安くSSDが欲しい」という事があったので、適当に安価なSSDを買いました。
せっかくなのでレビューしておきます。GREEN HOUSEのGH-SSDR2SAです。
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GH-SSDR2SA 120G
今回購入したのはGREEN HOUSEのGH-SSDR2SAシリーズ、これの120Gです。2個買いました。
正直言ってこの価格帯なので性能は最初から期待してない。
今回はほぼリードオンリーの用途で使用するため、「安ければ何でもいい」な製品を探していた。
安ければ他はどうでもいいんですが、せっかく買ったのでベンチとかをしてみる。
外観
パッケは非常にシンプル。
中身も非常にシンプル。外殻はプラスチックです。
分解して中身を見てみたい所ですが、簡単には開かなさそうなので開けません。だいたい察しは付きます。
見た目に関しては極めて普通のSATA SSDです。強いて言うならチープさから安物なのが即分かる。
仕様
容量別の仕様とかです。
容量 | 120GB | 240GB | 480GB | 960GB |
---|---|---|---|---|
フォームファクタ | 2.5 インチ | |||
インターフェース | SATA3 (6Gb/s) | |||
NAND | TLC | |||
シーケンシャルリード | 500 MB/s | 520 MB/s | ||
シーケンシャルライト | 400 MB/s | 450 MB/s | ||
保証 | 3年 |
確認する方法がないので断言はできませんが、おそらくDRAMレスです。この価格帯の製品でDRAM付いてる方があり得ない。
ベンチマーク
いつも通りベンチマークをやりましょう。SSDのレビューなんてそれくらいしかやる事ありません。
検証環境は以下の通り。
マザー | ASRock X570 Taichi |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
クーラー | Scythe 忍者 五 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
OS | Windows 10 Pro (64bit) |
最近組んだばかりのおにうのPCです。
S.M.A.R.T
CrystalDiskInfoでのSMART情報です。
ベンダ固有項目が多いのでほとんど役に立ちません。
温度もこの価格帯のSSDにありがちな33℃で固定です。
仕様に「製品寿命時においてデータ改変を自動で禁止するデータ保護機能をサポート」と記載されているので、寿命が来たときはリードオンリー化する形でデータ保護がされるでしょう。
なのでSMARTとか眺めて寿命を監視しなくても大丈夫……だとは思う。
ベンチマーク
CrystalDiskMark、AS SSD Benchmarkの2つでベンチマーク。
CrystalDiskMark 7.0.0h
CrystalDiskMarkのデフォルトだとそれっぽい値が出ますが、データサイズが8GiBを超えると書き込みは1/3~1/4くらいに落ち込みます。
読み込みの方は安定してるので、リードオンリー用途には問題ないでしょう。
AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247
Copy-Benchmarkは異様に早かった(SATA3の理論値を超えていた)ので省略。
Compression-Benchmark(2枚目の画像)の結果がほぼ横ばいのため圧縮機能はおそらく搭載されていないであろうと予想されます。(圧縮機能があるとWrite=赤線が右肩上がりになる)
圧縮機能があるわけでもないのにRead(緑線)が圧縮率で微妙に変動するのはPhison製コントローラーのクセです。
(Phisonコントローラーの他のSSDでもこのクセがあります、Force MP510とかPG3VNFとか)
キャッシュ
HD TuneのFile Benchmarkでランダムパターンを50GBほど読み書きしてSLCキャッシュの挙動を調査。
SLCキャッシュは5GBですね。CrystalDiskMarkで8GiB以上だと速度が落ちた点とも合致します。
SLCキャッシュが切れた後(素のNANDの性能)は50MB/sとHDD未満の結果になります。
この結果から考えると、中身はDRAMレスSSDで間違いないと思います。DRAM搭載SSDならSLCキャッシュが切れた後でも400MB/s前後は維持できるので。
温度
普段なら負荷をかけて温度のテストをするのですが、温度固定のコントローラーではやりようがないので省略。
手で触った感じでは熱いとは感じませんが、これが温度が低いからなのか、外殻の放熱性が悪いだけなのかは判断できません。
そもそもの性能がそこまで高くないですし、温度的に問題があるならプラスチックの外殻になんかしないはず……
気にしたって温度取得できないから気にしようがないし。
どのような用途に適しているか
適している用途なのですが、端的に言って「書き込みが重視されない用途」で「壊れるまで使い倒す」です。
大切なデータを入れて保管しようとか、そういう使い方には適さない。普通のパソコンに使うのも向かないと思う。
DRAMレスである以上耐久性はあまり期待できないので、耐久性重視なら絶対にやめた方が良いと思います。
(寿命が来たときはリードオンリー化するはずなので、壊れてもデータは取り出せると思いますが念のため……)
逆に壊れても大丈夫な使い方だと向いてます。なにより安い。
コンテナ
上に乗せるソフト次第な所はありますがDockerとかは向いてると思います。
コンテナなのでポータビリティがあります。ぶっ壊れてもディスク入れ替えてdocker pullしなおせば良いだけの話です。
言うまでもありませんがミッションクリティカルな使い方はやめた方が良いです。止まっても差し支えない用途向け。
あと書き込みのパフォーマンスが重要な用途もやめた方が良い。MySQLとか……
寿命が来たときはリードオンリー化するはずなので、永続データがある用途にも使えるとは思います。(他のディスクにバックアップするのは怠らない方が良いと思いますが)
サーバーでOS専用
NASでありがちですが、OSは専用のドライブに入れて、データ用のHDDを別で搭載する場合にはこの上なく好適です。
OSさえ入ってしまえば後は何でもいいので安物SSDで問題ない。壊れたとして消えて困るデータはconfファイルくらいでしょうし。
書き込みさえしなければ駆動部品があるHDDより長持ちするはず。自分でNASやサーバーを構築する人がどれだけ居るかは別として……
Windowsを入れて普段使いするのはやめた方が良い。
HDDキャッシュ
「書き込みは遅いが読み込みは安定している」ので、HDDのキャッシュとしてライトスルーモードで使うとかには合うかもしれない。(ライトバックとの相性は悪いです)
要するにbcacheとかIntel Smart Response Technology(ISRT)とかStoreMIとか。
ただ、この用途だとSLCキャッシュが切れた後はHDD未満なので、キャッシュアルゴリズムの良し悪しが顕著に出てくると思います。
書き込み時にキャッシュにも載せるかどうかとか(書き込みが遅いので載せない方が良い)、読み込みとキャッシュに載せる処理が非同期で行えるかとか(非同期じゃないと書き込みが足を引っ張る)……その辺の設計が悪いソフトウェアだと残念なことになる。
なので、合うかもしれない。とした。キャッシュアルゴリズムの出来がイマイチだとあまり幸せになれないと思います。
ゲームのインストール先
これは結構向いてると思います。
DRAMレスなので書き込みは劣悪そのものですが、読み込みに関しては安定して高いパフォーマンスが出ます。
で、「一度書き込んだら後はほとんど読み込み」な用途といえば、ゲームのインストール先とかがあります。
ゲーミングを名乗るほどのパフォーマンスはありませんが、HDDにインストールするよりは幸せになれるはず。
用途を選ぶ玄人向けのSSD
まず最初に、大切なのは「性能や品質に期待しない」事です。
この値段の製品に品質を期待する方が間違いです。安くて良い物を作れとか言うアホが多いから世の中がブラック企業で溢れかえるんですよ、それは今は関係ない話ですね。
この製品は用途を選びます。DRAMレスである以上性能はかなりクセが強いので、汎用的に使えるようなものではないでしょう。
「あらゆる考慮事項はすべて無視するから、とにかく1個あたりの単価が安い物をくれ」な用途には最適です。そんな用途どれだけあるんだって話でもありますが。
安価で手頃な雰囲気をまとっていますが実際には玄人向けです。素人は大人しく高品質なSSD(860 Evoとか)を使う方が満足度は高いでしょう。
今回の用途ではこれで十分なので満足しています。さんざん貶しておいてアレですが決して悪い物ではないです、物はちゃんと作られています。
値段なりの物だとは思いますよ、その値段が安いというだけの話であって。