デカくて静か Scythe 忍者 五 (SCNJ-5000) レビュー
2020/05/09
Scythe(サイズ)の忍者 五(SCNJ-5000)を買ったのでレビューします。
デカくて静かな大型空冷クーラーです。簡易水冷だと水漏れが怖いので……
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忍者 五
Zen2で新しいPCを組もうと思ったのですが、せっかくなので良いクーラーを使おうと思いました……
って話、要りますか?要らないよね、省略!読みたい人は他でまとめてます。
今回のレビュー対象はScytheの忍者 五(SCNJ-5000)です。
要するにCPUクーラーです。
みなさんがこの記事に求めているのは俺の独り言ではなく、外観の写真とか温度の比較データでしょうからさっそくはじめます。
外観
外箱です。
箱だけの写真だと何も思わないかもしれませんが、かなりデカいです。Ryzen 7 3700Xの箱と比較。
内容物です。付属のファンはKAZE FLEXです。かなり大きなヒートシンクになるので長いドライバーも付属。
写真で見るとインパクト伝わりづらいですが、本当にデカい。
ファン装着状態での幅はATXマザーの8割くらいあります。
重量もかなりのものです。1kg超えてます。
大きさ (ファン込み) | 138.5(W) x 155(H) x 180(D) mm |
---|---|
重量 (ファン込み) | 1,190g |
ファン回転数 | 300 (±200) ~ 800 rpm (±10%) |
ノイズ | 4.0 ~ 14.5 dBA |
風量 | 16.6 ~ 43.03 CFM |
大きいだけあって、静音性はかなり高い。
取り付け
取り付け方はマニュアルに書かれてあるので省略。
虎徹の時よりファンクリップが取り付けやすくなってる気がする。
ASRock X570 Taichiに取り付けてみました。
大きさのイメージ、伝わりました?
虎徹を2個引っ付けましたって感じの見た目をしています。
リテールクーラーと比較
せっかくなのでリテールクーラーと比較してみましょう。
検証機材は以下の通り。
マザー | ASRock X570 Taichi |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
グリス | ARCTIC MX-4 |
メモリ | Crucial DDR4-3200 16Gx2 |
GPU | Radeon RX 570 |
電源 | Corsair RM850x |
グリスにはMX-4を使用しています。
今回は条件を整えるためにMX-4を使用していますが、グリス検証の結果から言えば付属グリスも同じくらい冷えるみたいです。
なので、普通に使うだけならわざわざ別途グリスを購入する必要はないと思います。
Ryzenのリテールクーラーにはいくつか種類があって、今回比較対象になる「Wraith PRISM」はその中で一番上位の奴です。
室温は19℃、エアコンで調整して温度計で確認。今回はクーラーの性能を調べたいのでPWMは有効化しています。
電源プランはRyzen Balancedで、Core Performance Boostは無効化しています。
変数になる物は極力減らしました。
温度
OCCTを10分間回しました。
OCCTを回し続けて到達した最大温度と、放置し続けて記録された最低温度のグラフです。
流石にリテールと比べたらダメだな……
冷却力は当然ながら忍者 五の圧倒です。
回転数
ファンの回転数を見てみましょう。
ファン回転数のグラフです。忍者はファンを2つ使うので値も2つあります。
もちろん回転数はPWMの設定次第ですしファンの大きさでも変わりますが、グラフを見れば分かる通り忍者 五の付属ファンは回転数の上昇も控えめです。
というかそもそも回転数自体が控えめになっています。
忍者 五に付属しているファンはKAZE FLEXですが、市販の物とは仕様が少し違っていて最大回転数が800 RPMまでになっています。
静音性重視で冷却性能はやや控えめ、というわけです。
冷却性能欲しさにNoctuaとかに交換している人も居ますが、普通のKAZE FLEX(最大1200 RPM)に交換するだけでも冷却性能は上がると思います。
それと、回転数は2つのファンで連動するように設定した方が良いと思います。何も考えずに取り付けただけだと連動してなかったりする。
X570 Taichiの例ですが、CPU_FAN2/WPの「ファン温度ソースを選択する」を「Monitor CPU」に変更すると連動します。
良く分からなかったら付属しているPWM分岐ケーブルを使いましょう。
騒音
無負荷時と高負荷時の騒音も計測。騒音計持ってないのでスマホアプリでやりました。
リテールクーラー
平均値は37dB→43dB (+6dB)
忍者 五
平均値は30dB→33dB (+3dB)
両者の測定条件が厳密に同じではないので参考程度にしかなりませんが、リテールはハッキリ分かるくらいうるさくなるのに対して、忍者 五では音の変化がほとんど分かりません。
というかX570のチップセットファンが……
ファンレスを試す
「ヒートシンクがデカいんだしこれファンレスでも行けるんじゃね?」みたいな事がどこかに書かれてたのでやってみた。
流石にファンレス用に設計されたクーラーじゃないので無理があります。
負荷が掛かると温度が上がり続ける(=冷却が間に合ってない)のでやめた方が良いと思う。
元々かなり静音性が高いのでファンレスにするメリットはありませんし、他にHDDやファンがあったら余裕でそっちの方がうるさくなります。
マザーのPWM設定でセミファンレス化するのはアリだと思う。
唯一の欠点: 大きさと干渉
圧倒的な大きさなので冷却力や静音性はかなりの物ですが、それ故にメンテナンス性はかなり劣悪になります。
メモリを変更しようと思えばファンの取り外しが必須ですし、場合によってはグラボを外すためだけにすべて外す必要が出てきたりする。(ロック解除のラッチが押せなくなる)
他のパーツとの干渉には気を付ける必要があります。
I/Oシールド一体型マザー
最近増えてるI/Oシールド一体型マザーですが、ファンをあまり下に取り付けてると当たります。
取り付けの際は必ず「ヒートシンクを取り付け→ファンを取り付け」の手順で行いましょう。「だいたいこの辺りやろ」とか考えて適当にファンを付けてからマザーに取り付けると当たります。
当たるだけなら良いんですが、ネジを締めるのに必死で当たってる事に気付かない→マザーぶっ壊す、なんて可能性もありえます。
5000円のクーラー付けるために3万のマザー壊したとかシャレにならないので気を付けましょう。
メモリとの干渉
少し気になるのはメモリ、特にヒートシンク付きメモリとの干渉。
メーカーの製品情報ページでは、メモリの高さはヒートシンクがカットされている部分で55mm、それ以外で35mmとなっています。
「35mmってメモリヒートシンク付かないじゃん」と思うかも知れませんが、これ、ファンを少し上に取り付ければ35mm以上でも取り付け可能です。
冷却力への影響はおそらくほとんどないと思います。
当然ファンを上に取り付けると高さは高くなるので要注意。
俺はケースの都合からファンの高さを上げられないので、ヒートシンク側を削ってます。
まとめ: 静音性重視の大型クーラー
この製品は静音性重視な構成になっていて、巨大なヒートシンクの高い冷却力のおかげで低回転数でもリテールクーラーより冷えます。
巨大なクーラーの高い冷却力を活かしてファンの回転数を落とすことで静音に振ってる、みたいな製品です。
より高い冷却性能が必要な場合はNoctuaとか通常のKAZE FLEXに交換すると良いでしょう。(それをするくらいなら最初からNoctuaのCPUクーラーを買えば良いじゃん、という気はするけど)
ただ、その大きさはかなりのものなので、他のパーツとの干渉やマザーボードのたわみには気を付けましょう。
大きさがメリットであり、大きさがデメリットでもある。そんなクーラーです。