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例の10万円でRyzen 3 3300Xのマシンを組む

      HimaJyun

新型コロナウイルスは現代社会に大きな打撃を与えました。しかし悪い事ばかりではありません、我々は10万円を勝ち取ることができました。

この10万円を使ってパソコンを組みましょう。予算10万円でRyzen 3 3300Xのマシンを組んでみたのでその話。

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予算10万でパソコンを組む

動いているのを壊さないのが保守であって、壊れているのを直さないのは保守とは言いません。

いまのは独り言です。

さて、我々は10万円を勝ち取りました。戦勝記念としてこの10万円でパソコンを組みましょう。(消費税があるので実質9万円だけどね!)

10万円を狙ったかのようなタイミングでRyzen 3 3300XやRyzen 5 1600AFが出てきたので、これを活用する構成を考えてみます。

コスパ重視で行こう

正直なところを言うと、今(2020-06-11)はとても"時期が悪い"です。人や物の流れに混乱が生じたり、店や工場が止まったり、テレワークでPC需要が高まったりした結果パーツが全体的に値上がり傾向。

この状況で欲張った事をすると高く付きそうなので、今回はコスパ重視で行きます。

予算は10万円しかありません。手持ちのPCパーツを流用したり、ほんの少しだけ妥協する事でコストを圧縮するのがポイント。

パーツ構成

今回は流用できそうなパーツが手持ちにほとんどなかったので、新品で買い揃えても10万円で収まるようにしました。
パーツ構成

パーツの一覧とお値段は次の通り。(言うまでもありませんが、この金額は購入時の物なので変動などがあり得ます)

項目 製品名 金額
マザー ASRock B450 Steel Legend 11,966 円
CPU AMD Ryzen 3 3300X 15,378 円
クーラー Scythe 虎徹 MarkⅡ 3,608 円
メモリ Team DDR4 3200Mhz 16GBx2 14,998 円
グラボ MSI Radeon RX 570 手持ちパーツ
SSD Samsung 970 EVO Plus 500GB 14,990 円
電源 玄人志向 KRPW-BK550W/85+ 6,036 円
ケース Thermaltake Versa H26 4,378 円

合計は71,354円です。ここに手持ちパーツ流用のため計算に入れていないRX570(執筆時: 16,970円)を加えると88,324円になります。

え?Windows?……Windows 10 Home 64bit DPS版(執筆時: 12,980円)を追加すると101,304円……ちょっとオーバーしちゃう!

今回はクーポン割引が3300円分あったので、実際に支払ったのは68,054円でした。これならRX570とWin10を購入したと仮定しても98,004円で10万の枠に収まります。

実際に組んでみた後で「これはコスパ重視なら要らないなぁ」というパーツがあったので、その辺を圧縮すればもっと安く抑える事が出来ます。逆にお金に余裕のある人はパーツをより良い物に変更すると良いでしょう。

その辺も含めたカスタマイズ例は後ほど。まずはパーツの紹介をやりましょう。

ASRock B450 Steel Legend

Zen2コスパ構成に最適「ASRock B450 Steel Legend」レビュー

マザーボードにはASRock B450 Steel Legendを選択。

新品で流通している物であればZen2対応BIOSが入っているので、3100や3300Xも挿すだけで動きます。

Zen2の定格最大であるDDR4-3200も難なく動作する良コスパパーツです。

M.2 SSD用のヒートシンクが1個付属しているので、わずかながらヒートシンク代の節約にもなります。

AMD Ryzen 3 3300X

CPUには発売されたばかりのRyzen 3 3300Xを使用。

1.5万円で4C/8T、数年前ならCore i7(4万円前後)を買わないと達成できなかった領域です。

シングルスレッド性能はZen2なので現行クラスの性能があります、マルチスレッド性能も大抵の用途には十分な性能があります。

他の選択肢としてはRyzen 5 1600AFRyzen 3 3100あたりでしょうか。細かい選択肢の話は後述します。

Scythe 虎徹 MarkⅡ

Ryzenリテールより10℃冷える「Scythe 虎徹 MarkⅡ」レビュー

CPUクーラーにはサイズの虎徹 MarkⅡを選択。

前にRyzen 7 3700Xで組んだ時には忍者 五を使ったのですが、忍者 五はその大きさ故にメンテナンス性がかなり悪化するので今回は無難な虎徹を選択。

お値段も虎徹の方が数千円ほど安いですし、コスパ構成では良い選択だと考えています。

DDR4-3200 16GBx2

Zen2 Ryzenで非OCならこのメモリ買っとけ

使用しているCPUがZen2なので、定格最大である3200Mhzに対応したものを購入しました。

本当はCrucialのW4U3200CM-16Gが欲しかったのですが、コロナの影響で在庫がなかったため代わりにTeamの物を選択。

ここは使用するCPUや必要な容量に合わせて調整しましょう。

個人的には32GBくらいその気になれば使うのでそうしてますが、大抵の人は16GBくらいでも足りるでしょうし予算確保のために少し減らすのもアリ。

MSI Radeon RX 570

Radeon RX 570 SAPPHIREとMSIで比べてみる

今回はRadeon RX 570を使用。これは手持ちにあるパーツを使用した結果こうなっただけです。

ここだけはRyzen系唯一の弱点ですね。外付けGPUが必要になるから、GPUパワーを必要としない用途だとグラボの分だけコスト増になる。

とはいえ自作PCを組む人でGPUを使わない人は少数派では?ゲームやクリエイティブを目的とする人はどの道グラボを載せるでしょうから問題ありませんね。

グラボはお好きなものを選びましょう。

Samsung 970 EVO Plus

ド定番のNVMe SSD「Samsung 970 EVO Plus」レビュー

SSDにはSamsungの970 EVO Plus(500GB)を選択。

将来性を見据えてPCIe 4.0対応のSSD(CFDのPG3VNFとか)を買うのもアリです。

今回は無難にPCIe 3.0対応でド定番の970 EVO Plusにしました。

玄人志向 KRPW-BK550W/85+

高コスパで人気の電源「玄人志向 KRPW-BK550W」レビュー

電源には玄人志向のKRPW-BK550W/85+を選択。値段の割に品質が良く高コスパなため人気の電源ですね。

容量の選択肢としては450W550W650W750Wの4種類。今回選んだのは550Wですが、本当は650Wが欲しかった……コロナの影響で在庫がなかった。

ちなみにこの電源、最安値だと4000円とかそんな値段で買えたそうです……

Thermaltake Versa H26

普通に使えて比較的安価「Thermaltake Versa H26」レビュー

ケースにはThermaltakeのVersa H26を選択。これは完全に値段で選びました。

いくらコスパ重視とはいえ綺麗に仕上げたいので、裏配線対応で電源シュラウドの付いたケースから安い物を選ぶとこうなる。

極論ですがケースなんて入れば何でもいいので、何でもいいと思います。(トートロジー)

カスタマイズ例

ゲームをする人はグラボにこだわりましょう。クリエイティブな事をする人はコア数にこだわりましょう。余ったお金は彼女(そんなものは居ない)と一緒に焼肉を食べに行くのに使いましょう。

最初に紹介したパーツ構成をベースに、削ったり足したりする際の方針をいくつか紹介。

ここでは10万円の予算内で収めたい人、出来るだけ少ない出費で良い結果を得たい人向けの話をします。

最初から10万円の枠は無視して最高の物を組むつもりならRyzen 7 3700XのオールSSD構成を参考にしてもらう方が良いと思います。

必要のないものを削る、パーツを流用する、要らないパーツを売り払う、中古で買うなどの工夫をすれば10万円の枠内でもそこそこパワフルな物が組めると思います。

マザー

コスパ重視構成だとB450 or B550のどちらかになるでしょう。

Ryzen 5 1600AF(Zen+)を使いたい場合にはB550は使えないので、B450を使うことになります。

3100/3300Xの場合、1.5万円のCPUのために3万円くらいするX570を買うのはコスパに優れた選択とは言えないはず。

PCIe 4.0が使えるがZen+が使えないB550と、PCIe 4.0は使えないが対応CPUの幅が広いB450。

最終的には値段次第です。価格差が小さいならB550、B450の方が安いのであればB450を選ぶのが良いでしょう。

CPU

コスパ重視構成だと1600AF31003300Xのどれがが選択肢になるでしょう。もちろん予算に余裕があるのなら3700Xのような上位CPUを検討しても構いません。(2020-06-11の時点では1600AFは価格がやや不安定な模様)

1600AFはZen+で6C/12T、名前こそ1600ですが2600の方が物としては近い。

3100と3300Xは両方ともZen2の4C/8Tです。違いですが、3100と3300XではCCX/CCDの構造が異なります。

RyzenのCCXやCCDは図解する方が分かりやすい。
Ryzenの構造(上の画像では省略していますが、実際にはL3キャッシュやIOダイもあります)

CCXの中にL3キャッシュがあるのですが、3300Xは16MBのL3キャッシュを4コアで共有しており、3100では8MBのL3キャッシュを2コアで共有するCCXが2つ……となります。

3300Xは全てのL3キャッシュが1つのCCX内に収まっているため、3100より少しだけ性能が高くなります。

まとめると、シングルスレッド性能は「3300X>3100>1600AF」、マルチスレッド性能は「1600AF>3300X>3100」という感じです。

「Zen2の機能(PCIe 4.0とか)をできるだけ安く使いたい!」という場合には3100が選択肢になるでしょう。

それ以外の場合ではシングルスレッド性能の3300X or マルチスレッド性能の1600AFのどちらかから選ぶことになると思います。

1600AFはコア数が多いため、マルチコアを有効に活用できる用途に向いています。ゲームなどでは3300Xの方が高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

迷ったら3300Xにしておくのが無難ではあります。

CPUクーラー

CPUクーラーは削れるパーツですね。せっかくリテールクーラーが付属しているんですから、これを活用すればクーラー代の分だけ浮かせることができます。

定格での利用であればクーラーを別途購入するメリットはそこまでないでしょう。

静音化したいなどの明確な目的がある時以外はリテールクーラーの利用を検討してみましょう。

CPUクーラーを購入したい場合は虎徹MarkⅡ忍者 五のどちらかが有力な選択肢になるはずです。

グリス

コスパ重視なら買わなくて良いと思います。特に定格運用の場合はグリスを買ってまで冷却にこだわる意味はないでしょう。

CPUクーラーに付属しているグリスはCPUクーラーの冷却力を問題なく発揮できる性能の物です。グリスの性能が低いとそれがボトルネックになって製品の評価を落としてしまいますからね、メーカーもそれくらいは理解しているはずです。

せっかく付属しているのですから活用しましょう。付属グリスを無視してまで高価なグリスを買っても、その出費に見合うほどの結果は得られないでしょう。

「スッポンが気になるからどうしても買いたい」とかの明確な目的がある時だけ、検討しましょう。

グラボ

ゲームをしたいのであればグラボは一番カスタマイズする価値があるパーツでしょう。

グラボにこだわりたい人は他のパーツを買う→余ったお金で良いグラボを買うのが予算配分としては上手く行くやり方だと思います。

グラボは割と好みの分かれるパーツなので、お好きなものをどうぞ。個人的にはAMDで揃えた方が気持ちが良いのでRadeonを選んでます。

「ゲームしないからグラボ安くしたい」という方はGT710GT1030RX550あたりを使うのが良いでしょう。

SSD

今回は無難な物として970 EVO Plusを選んでいますが、コスパ重視構成でPG3VNFとか970 EVO Plusを使うのは性能過剰な気もします。

SSDとしてのグレードはやや落ちますが、ADATA XPG SX8200 Pro辺りが性能の割に安いので検討する価値はあるでしょう。たとえば500GBなら5000円くらい安くなります。

SX8200 Proは中身がおみくじで、その当たり外れ次第でSLCキャッシュの容量が変わる欠点がありますが、コスパ重視として考えるなら我慢できる範囲だと思います。

それから、必要以上の容量を買わない事ですね。大切です。

データ用ストレージ

自作PCを組む人で「ストレージは500GBのOS用SSD1個で足りるよ!」なんて人は少数派だと思います。

とはいえ、大抵の人はNASを所有しているか、流用できるHDDを所有していると思います。

流用しやすいパーツなので新しい物を購入しなくてもどうにかなるでしょう。

組み立て

組み立て方の解説は要らないよね、刺さるところに刺せば動く。動くなら動くし、動かないなら動かない。

完成形はこんな感じ。
10万PC 完成形10万PC 完成形

エアフローは無難にこんな感じで。
10万PC 風向

裏は雑です、もうちょっと綺麗に出来るとは思うけど梅雨の高温多湿で気力が削がれてギブアップ。
10万PC 配線

これで終わりでも良いんですが、これで終わるのもアレなので少しベンチマーク的な何かを。

ベンチマーク

「Core i7 7700K並みの性能が1.5万円で!」というアピールの仕方をされますが、ベンチマークの結果的にそういう認識で合ってると思います。

ベンチの結果をいくつか。

ChineBench R20はマルチが2585、シングルが505
3300X ChineBench

PCMark 10は6361
3300X PCMark10

3D Markはグラフィックが3868、CPUが5192、総合が4021
3300X 3DMark

7-Zipは圧縮が5443/39490 MIPS、展開が6150/48246 MIPSで総合が5796/43868 MIPS
3300X 7-zip

CPU-Zはシングルスレッドが535.6、マルチスレッドが2869.2
3300X CPU-Z

1.5万円でこのパフォーマンスなら十分でしょう。

コア数を要求する用途で使うとかでもない限り、これで十分な気がします。

10万円おかわり!!

10万円もっと欲しい、欲しくない?

「10万円おかわり!!」、要求していきましょう。

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